当初は4年は最低かかると考えて制作を始めました。ただし実際は13年。これは予想をはるかに大きく超えています。スケジュール管理という意味では完全に失敗ですが、こればかりは「仕事をしながら制作をする」という社会人特有の理由も要因の一つ。
(詳しくはConceptに)
イメージスケッチ
DINO!の物語を固めながらというよりも、雰囲気作りようにいくつかラフに描いています。必要なセットや撮影空間は度外視で。
大雑把なコンセプトは最初からテーブルマウンテンのような場所が舞台。
バクが地図を見つけた少年を覗き見ているところのイメージ。
なんとなく遺跡をイメージして描いたもの
イメージした絵をもとにテストで制作したセットですが、あまりにもそれっぽかったので不使用。
遺跡の入り口を見つけるところや、DINOが危機に陥るところのイメージ。実際にこの場面を撮影する5年くらい前にはほぼ形が固まっていました。
これを4畳の空間の90cm四方のセットでどう撮るのか?というのが課題。
本番の撮影は順撮りではなく、まず森のシーンから撮り始め、次に川が出てくる水回りを全部。そして最後のアクション部分という順番で撮影しました。
川下りのラフイメージ
本番の絵
初期の試し撮り。セットは作りましたが「ロード・オブ・ザ・リング」の影響を受けて少し大袈裟すぎるので不採用になりました。
初期の試し撮り。こちらはスケール感が出ていないので不採用になりました。
キャラクターデザイン
DINO
DINOは最初から船とワニがくっついたキャラクターでしたが、船の形が漁船でした。そこから帆船になり、陸地を歩く設定になって4つ足に。
DINOという名前はDinosaurからなので、本来の読み方でいうと『ダイノ』なのだと思います。でもしっくりこなかったので自分としてはディノと呼んでいます。
キャラクターデザイン
バク
首回りの配色が違うけれども、どことなくずんぐりした形は最初から変わらずに。ナスみたいな形にしたかったけれども、動かすことを考えて形は変わりました。肌質がざらざらになったのは、補修を考えての事。ツルツルに作ると関節の修理などの際に切り目を入れると傷口が目立つ可能性があったため。
制作予算
DINO!は自主制作で、自分自身の資金で制作したものです。補助金カンパなどは受けていません。また、大学にいますが研究費は一切作品制作には使っていません。造形含むアニメーション制作と編集は自分一人だけなので、人件費計算は出来ません。PCが壊れて買い換えたり、バックアップ用にHDDやSSDを買ったりはあるけれど、そういった機器類を除く制作費は数十万円程度だと思います。制作の後期はそれまでに使ってきた素材を使いまわしたりしてかなり予算削減はしました。(あくまでも時間と採算度外視の『個人制作』だからなので、仕事での価格破壊が起こらないことを願います)
結果的に最も支払いをしたのは楽曲制作以降です。そこから先は自分では出来ないので、きちんとお支払いして音楽を制作していただき、演奏や録音、ミックス、MAを行いました。効果音も入れてもらっています。作品内容的にもやれるならオーケストラということで「日本国内よりは安い」ということもあって、作曲家の方の紹介で海外のオーケストラに演奏してもらいました。ただし、コロナウイルスの影響で一度決まったオーケストラがNGになる慌ただしさはありました。具体的な音楽関係の金額はあげませんが、車は買えるくらいの金額です。音楽関係者の方々の声を聞くと仕事で考えても少なくはない金額だったみたいです。でも13年間作っていた間の貯金なので、その期間を考えると極端に大きな金額を投資したわけではないというのが自分の感覚です。自分で出来ないところはきちんとお金をかけないといけないという考えに基づいて支出しました。